2013年3月08日
ダイコクハシラサマ
2013.3.8
この夏、鹿沼市に上棟予定のF邸の大黒柱が工房に届きました!
300mm角、いわゆる『尺角』の8m杉材です。
どれくらい太い丸太から製材したでしょう???(笑)
写真に写っている大工若鷹のオオシマと二人でようやく転がせる程度なので、
持ち上げることなど当然不可能です。(苦笑)
そう、
柱の上面に一本の切込みがあり、『クサビ』が差さっているのがわかると思います。
これを、『背割り』と言います。
木にも腹と背中があって、その背中を割るので『背割り』なのです。(^ ^)
木は自然乾燥させると、(当然なのですが)割れが入りますよね。
冬の指先のアカギレと同じで、中の乾燥が外の乾燥に追いつかない為、
収縮の違いから割れるのです。それを防ぐというか、
『他の面が割れないように、または割れにくいように』一箇所を大きく割るわけです。
本来、自然に四面に割れが入ることがむしろ当たり前なのです。
割れは悪いことじゃない。構造的にもなんの問題もないからです。
背割りを入れているのは、見栄えもありますが、
柱自身の乾燥の進行に多少ですが効果があると思うのと、
後々、触ることの多い柱の割れでトゲを刺さないように。
それから、この背割り柱に壁が絡む場合は注意が必要です。
乾燥と共に割れがとても開くので、壁の亀裂が起こり易くなります。
柱が変形し直角ではなくなるからです。
なので、一概に言えませんが大黒柱などの独立したものにだけしか、
背割りを入れていません。
(見えているクサビは背割りが開くのを助けるためのものです。)
こういった大きな柱は特別材ですから、
『すぐ建てたい!』と言われても材はまだ山の立木の状態であるかもしれません。。。
Fさんの御宅の図面は昨年の夏の段階で決定していました。
建て替えということと、大工棟梁の順番もあり、着工をお待ち頂いている状態なので、
秋に伐採して段取りしておくことができました。
Fさん、刻みが始まったら、ぜひこの柱を見に工房に見学にいらして下さい、ご連絡致します!
いつも応援ありがとうございます!
前長大工 前昌